健康・医療

イヌやネコの熱中症にご用心

Yoshihisa Yamane

山根義久

1943年、鳥取県生まれ。鳥取大学農学部獣医学科卒業。医学博士・獣医学博士。1989年に世界で初めての動物用の超小型人工心肺装置を試作し、10例中8例の成功例を報告するなど、獣医療界における循環器の権威。2004年より社団法人 日本獣医師会・会長職に。また公益財団法人 動物臨床医学研究所の理事長も務める。主な著書に『イヌ・ネコ家庭動物の医学大百科』(PIE BOOKS刊)、『小動物 最新外科学大系』(インターズー刊)などがある

2011年07月19日 [火]

昨年同様、今年も梅雨明け前から尋常ではない暑さが続いています。毎日のようにニュースで熱中症で病院へ搬送された方々のことが報じられていますが、実はペットの熱中症も大きな問題になっています。
ペットは「苦しい」とか「暑い」とか、身体の不調を言葉に出して言うことができないわけですから、「おかしいかも?」と気付いてあげられるのは飼い主さんだけです。そこで、ペット(イヌとネコ)の熱中症とは何なのか、またどんなことに気をつければ良いのかを、社団法人 日本獣医師会・会長で、東京農工大学名誉教授の山根義久先生に解説していただきました。

重症になると痙攣を起こしたり、意識が混濁することも

この数年、人と同様に夏場におけるイヌ(ネコ)の熱中症が急増しています。それは猛暑の中での散歩、あるいは激しい運動や、屋外で長時間にわたり直射日光を浴びるなどにより起きてしまいます。また、よくあるのが高温で換気不十分な車内に閉じこめられたりすること。この場合は、容易に熱中症を発症します。

熱中症になってしまったイヌやネコの症状は

熱中症の症状としてはまず、突然、呼吸がハアハアと荒くなったり、ぐったりと虚脱状態になることがあげられます。また尿や便を失禁したり、さらに重症になると痙攣を起こしたり粘血便を排泄し、また意識も混濁します。この様に高温下で、なおかつ湿度も高い中で起こる体の障害を総称して「熱中症」と呼称します。

熱中症の症状が見られたらまず冷やしましょう

上記のような高温や多湿の環境で、前述の様な症状を伴い、体温が異常に高い場合には、まず応急処置として全身に冷水を浴びせたり、水風呂につけたり、水シャワーをかけたり、氷のう等で全身を冷やすことで、体温低下に努めます。この場合は一刻を争いますので、できるだけ迅速に処置することが重要です。その後、急いで獣医師の治療を受ける必要があります。
体を冷やして少し状態が落ち着いたとしても、決して安心してはいけません。熱中症は一時的に状態が改善した場合でも、体内で大きな変化が進行していることが多く、その後、急変することがあるからです。獣医師の治療を受けた後も、しばらく様子を観察することが必要です。
適切な処置がなされないと、最悪の場合には死に至ることもあります。決して油断の出来ない恐い病気ですので、飼い主さんはペットの環境や状態には、十分注意を払ってください。